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第97回兼題
『行く春』・『田螺』
全投句数: 33 句   選句&選評: 30 票


天
3点句

南骨、チィープ・インパクト、手湖鶴 選
行く春のケースのパフェのうすぼこり 木琴
★ 「ケースのパフェ」は「食堂のショーケースの中のパフェの作り物」を指すことはわかるけど、ちょっと乱暴な表現だと思います。「行く春や」とはっきり切った方がいいとも思う。でも、取り合わせは納得できました。「うすぼこり」がいいですね。 (南骨)
★ 埃っぽい作りもののパフェと行ってしまう春が絶妙に共鳴していて尚且つ色彩も魅力的な感覚句でした。 (チィープ・インパクト)
★ 飾られていた色鮮やかな見本にうすぼこり。色も褪せて時間の経過がうかがえる。着眼点に感心。 (手湖鶴)
◆ ほこりと行く春がとてもよく合っています。 (更紗)

牛鈴、恋煩い、風翔 選
行く春を猫と見送る屋根の上 望月海月
★ 「屋根の上」「猫」がいかにも「行く春」らしいなあ、と思います。学生時代、サークル会館の屋根の上がお気に入りの場所だったことを思い出しました。 (牛鈴)
★ いいですね。猫とならんで屋根に座りたいです。 (恋煩い)
★ 屋根の上で、作者と猫が並んであくびをしている様子が浮かんできました。見送りながら考えている事は、同じなのかも知れませんね。 (風翔)
◆ スナフキンみたい。こういう余裕のある生活に憧れます。 (木琴)
◆ バンカラな季感と小匙一杯分のセンチメンタリズム。 (チィープ・インパクト)


2点句

南美たかし、望月海月 選
行く春の少し甘めの卵焼き ぽぽんた
★ 私にとっての「行く春」は、少し甘めでした。 (南美たかし)
★ 甘い卵焼きは 作る時焦げやすい。春も終盤には暑いくらいになります。 (望月海月)
◆ 田舎のおばあちゃんが作る卵焼きは砂糖入りの甘いやつ。自分が作ると真っ黒になったなあ。 (ドクトルバンブー)
◆ 実をいうと私も同じような発想で句をつくったことがあります。卵焼きと春ってあいますよね。それだけに類相があるので、組長いうところのもう一息のオリジナリティが欲しいと思いました。 (木琴)
◆ あまーい!新婚さん?! (チィープ・インパクト)
◆ 行く春と卵焼きの取り合わせがよく、ほのかな甘さと暖かさが春を惜しんでいるように感じられる。 (手湖鶴)

風酔花、ザッパー 選
行く春よ空もぎ取りて観覧車 シオマネキ
★ 観覧車を見上げると 何やらショベルのような観覧車がまわっている。そう、まるで空の工事をしているかのように。 (風酔花)
★ わたくし高所恐怖症のため観覧車はバツです(涙) (ザッパー)
◆ 巻き取るじゃなくてもぎ取るとは、激しい観覧車! (チィープ・インパクト)
◆ 「空もぎ取りて」がとてもいいです〜。 (更紗)

ドクトルバンブー、みかりん 選
この星の自転を知つてゐる田螺 うそ鳥
★ 田螺の動きがゆっくりなのは遠心力で地球から飛ばされないようにしがみつきながら移動していたのかも知れない。そんな気にさせられました。 (ドクトルバンブー)
★ 田螺以外にも自転を知っている生物がいるかも…でも田螺が知っていても不思議はないと思う。決して真実を自ら語ることはしないだろうけれど。 (みかりん)
◆ 田螺は地面=地球にへばりついているから、一緒に回っていることを分かっているのかもしれない、なるほど〜の一句でした。 (木琴)
◆ 水の流れに田螺はあっちへコロリこっちへコロリ自転を知ってゐると言われれば、そうかもしれない・・。 (のり茶づけ)
◆ 何も知らないのは人間だけ?! (チィープ・インパクト)
◆ たしかにそんな気がしてきます。 (更紗)

瀑、向川泥舟 選
大田螺無骨者にて御座候 南美たかし
★ 時代劇みたいな内容が可笑しい。展開のユニークさとその楽しさに拍手。取り合わせとしても、田螺そのものと読んでもどちらにしても参りました。 (瀑)
★ 所々欠けたり傷ついた大田螺の殻は、飾りの一切ない、戦国武将の兜にも見えてきます。この句のイメージが一番広がりました。 (向川泥舟)
◆ 「六道を経巡りて今大田螺」の句とコラボのように思えました。田んぼの主のようにどかりと泥にうまっている田螺の存在感が伝わってきます。 (木琴)
◆ この見得の切り方が小気味よい! (チィープ・インパクト)
◆ 大田螺とよく合ってます。言い回しに俳諧味があって面白いです。 (更紗)

ヨシザネユミ、木琴 選
行く春に捨て犬二匹じやれあつて 龍玉
★ 春の幸せに浸りきれなかった境遇。だけど、現時点では彼らはまだ幸せなのです。無邪気さ故に、彼らの今後の運命の悲しさが一層強まります。悲しい春の終わりです。 (ヨシザネユミ)
★ 犬が二匹じゃれあっている様はかわいいし、ほのぼのしていますが、捨て犬というところで、にわかに哀愁が漂ってきます。その気分と行く春を惜しむ気分はとても共鳴して、白くて淡い光の波が句の世界にもこころにも満ちてくるようでした。ほんの一滴の悲しみが行く春にはふさわしいのかな。
一つだけ注文〜行く春に、の「に」は「を」にして、世界をぼわっと見せたいです。 (木琴)
◆ 上五「行く春や」で切れを入れていたら文句なく選句していたでしょう。無心な犬、心無い飼い主、子犬の大きくなる時期など行く春をよく表現しています。 (うそ鳥)
◆ 「じゃれあって」の口語と「二匹」の説明が惜しい気がしました。 (チィープ・インパクト)


1点句

泥亀 選
行く春の海の光を焼き付けよ 更紗
(泥亀)
◆ 青春の残像。 (チィープ・インパクト)

蛍子 選
行く春に躓きながら杖をつく 託心
★ 杖をつきながら、なおも躓いている・・・悪戦苦闘行く春は追いかけても、どんどん先を行くから・・ (蛍子)
◆ これはきっと行く春という世界の中を歩いているのでしょうから、「に」ではなく「を」としたほうがよいのでは、と思いました。茫洋とした世界の中をこつっこつっと杖の音が不規則に聞こえてくる・・こういう捉え方は新鮮でした!すてきな句! (木琴)
◆ 散文的なのが惜しい気がします。 (更紗)

shinobu 選
跡継ぎの話しの前に田螺茹で ザッパー
★ 農を継ぐ者がいないという深刻な問題を軽妙に表現している。 (shinobu)
◆ どこの国のどの時代の話でしょうか。相続会議というからには庄屋か大地主なのでしょう。 (うそ鳥)
◆ どんな人がどんなところにいるのか光景がうかんできます。田螺をゆでて、それをお茶請けにしながらのんびり話しをするのかなあ、きっと双方にとっていい結果になったのではと思いました。 (木琴)
◆ 全国的に難しい農家の跡継ぎ問題だと思います。下五を安易に逃げた感じが惜しい。 (南美たかし)
◆ 何の後継ぎでしょう?田螺の取り合わせだから、それほど深刻ではなさそう。 (チィープ・インパクト)
◆ 代々続く家の跡継ぎ、難しい話の食卓に今では珍しい田螺茹でが。跡継ぎという言葉も過去になりつつあるような。 (手湖鶴)

更紗 選
六道を経巡りて今大田螺 向川泥舟
★ 六道と大田螺がとてもよく合って、大田螺の存在感がクローズアップされている句と思いました。田螺って哲学的な存在ですね〜。 (更紗)
◆ 「経巡る」でめぐる、読むんですね。中六になっていますが、めぐりて今や、とか中七にしたほうがやはり句がしまっていいかなと思いました。どうだ、六道を全部巡って田螺になったんだぞ!という勇ましさと姿の対比が面白いです。 (木琴)

のり茶づけ 選
行く春の鳥の声溶く角砂糖 ドクトルバンブー
★ 豊かな時間ですね。鳥の声を聴きながら飲むお茶は美味しいでしょうね。角砂糖が溶けていくようにいつの間にか季節は移り変わっていくのでしょう。 (のり茶づけ)
◆ 鳥の声が角砂糖を溶かしていくんだよ、ということかな。ちょっと分かりづらかったです。文語は苦手なので口語でしかいえないのですが、鳥の声が溶かす角砂糖、とい語順ではなく、鳥の声に角砂糖が溶けていく、とか角砂糖が鳥の声に溶けていく、なんて語順の方が分かりやすいかな・・でも名詞止めがいいのか・・うーん。いっそ、紅茶に鳥の声を溶かしてしまうというんじゃだめ?すみません。好きな句だけに言い過ぎました。 (木琴)
◆ 溶けたら鳥の声がする角砂糖ですか?素敵な発想です。 (チィープ・インパクト)
◆ 「溶く」が声と砂糖と両方にかかるように思えるのが惜しいです。 (更紗)

藤実 選
行く春の七味の中蓋が取れた みかりん
★ 「行く春」は「中蓋」までかかっていると思うに至って、この句を頂戴することに決めた。中蓋が取れたことで七味が見える。赤く辛い七味は夏の到来をもイメージさせる。 (藤実)
◆ どばっと出ちゃったわけですよね! なのに春を惜しむなんて、肝っ玉がすわりすぎです!! (木琴)
◆ え〜っ、ドバッとかけちゃったんですか?悲惨〜。私は塩をドバッとやっちゃったことがあります(笑) (更紗)

萬屋 万作 選
行く春や椀をすすりて砂の味 藤実
★ しじみ・あさり、貝のおすましは、どうしても砂が残りますね。 (萬屋 万作)
◆ 砂の味って・・。味がないってこと?すごくかなしい・・・。あ、それとも貝から出た砂か!?それなら味より感触をよむと伝わるのでは。 (木琴)
◆ 貝汁をひと口含んだら砂の舌触り。行く春に後悔や無念さが。 (手湖鶴)
◆ 下五が惜しい気がしました。 (更紗)

芳生 選
田螺鳴く静かな時のありにけり 春生
★ 静かな、余りにも静かな・・・。 (芳生)
◆ 田螺の鳴き声、聞いてみたいです。 (チィープ・インパクト)

うそ鳥 選
田螺吹く泡の行方や待ちぼうけ ラグナ
★ 誰かと待ち合わせしているのでしょう。田螺の見ている時間の経過が表現されています。田螺同士がくっついていることもよく見られます。 (うそ鳥)
◆ なるほどー泡か〜と目のつけどころに感心しました。最後の「待ちぼうけ」でなんだか分からなくなってしまいました。 (木琴)

錫樹智 選
居眠りの縦横の列春行けり ヨシザネユミ
★ 学校?塾?講演会?「縦横の列」から想像がふくらみます。行く春とともに春眠も惜しんでいるようで面白いです。 (錫樹智)
◆ おえらいさんの演説会など想像しました。目借り時ですもんね。 (チィープ・インパクト)

ネジバナ 選
検索をかけてみる田螺のレシピ ポメロ親父
★ 子供の頃捕ったことはあるけど食べたことはありません。どやって食べるのか?おいしのか・・・!? (ネジバナ)
◆ 「食通の北大路魯山人は、生涯にわたって田螺を好んで食べた」とあり、ほほーと感心。「地方によっては刺身」まじ!大丈夫なのかなあ・・とびっくり。 (木琴)

龍玉 選
田螺這ふ水底の毳なぎ倒し 南骨
★ 田螺が這うところをまじまじと見たことはないけれども、毳をなぎ倒すというところに、この巻貝の凄さ、命のエネルギーを感じた。 (龍玉)
◆ 最初「毳」が読めませんでした。辞書を引くと「毛を三つ合わせて、密生した獣の柔らかい細い毛の意味を示す。むくげ、にこげ、そり(橇)」とありました。この句の場合は「そり」と読むのでしょうか? (チィープ・インパクト)
◆ たしかにそんな感じでしょうね〜。動きが見えます。 (更紗)

ポメロ親父 選
テポドンの恐さを知らぬ田螺かな 風酔花
★ 時事ネタですが、田螺がなかなかすっとぼけた雰囲気を出していて、よく効いていると思います。 (ポメロ親父)
◆ 私も実感したことがないのですが。田螺にはひとたまりもないのでしょうね。それ以前に彼の国では食料として根絶やしされているのかも。 (うそ鳥)
◆ 結局は戦争体験者以外は誰も知らないのかも。 (チィープ・インパクト)

えるも 選
行く春や誤探知誤報誤発送 蛍子
★ 言葉の羅列なのですが、行く春のけだるい感じと合ってるなあ、と思いました。 (えるも)
◆ この畳みかけ!怒ってます?! (チィープ・インパクト)
◆ 「誤」の漢字を繰り返して、リズミカル。行く春を笑っているのかな。 (手湖鶴)

自分の選評が載っていないという方がいらっしゃいましたら
早急にお知らせ下さい。

※ まほろ選 ※

匿名で投句を発表した上で選句&選評を募っていますが、私は立場上、どれが誰の句か分かっているということで、選句の票数には数えずに「まほろ選」という形で別にして、選句&選評を紹介させていただきます。
良いと思った句を選んではいますが、あくまでも私自身の好みです(^-^;

※「まほろ選」の句には、互選票数による点数とは別途、
累計点数ランキングの集計時に1点
を差し上げます

行く春の少し甘めの卵焼き ぽぽんた
卵焼きには優しい印象があり、春らしいイメージに合う。甘めならばなおさら。春は春でも“行く春”ということで、この卵焼きがどういう卵焼きなのか、想像の幅が広がる。学校に慣れてきた子どもの弁当に入れるのか、ようやく料理に慣れてきた新婚主婦なのか、いろいろな読みがあっていいと思う。
無点句

行く春や二匹の猫が屋根の上

田螺取水面をよぎる雲の影 Shinobu
◆ みずみずしい土着。 (チィープ・インパクト)

酔ひに聞く父の青春田螺殻 チィープ・インパクト

行く春やまごつく旅を思いけり 恋煩い

野の草の長く短かく春の果 牛鈴

正座してテレビにお辞儀田螺飼う よーぐると
◆ 好きです。テレビにね、ついついお辞儀したり、挨拶の返事しちゃったりするんですよね。年寄りと幼児はそういうもんです。かくいう私もしたりしてます・・。で、田螺飼うもとぼけてますね。きっとほんとはメダカとか金魚とか飼っていたのに、今は田螺だけが水槽に残っていると、でもまあそのままになっている。きっと田螺の這った跡だけガラスがきれいになっているような緑色の水槽に違いない。というわけで、春のおだやかでのんびりした空間が伝わってきました。 (木琴)
◆ 三丁目の夕日 (チィープ・インパクト)

行く春や衣裳整理の煩わし 悠歩
◆ たしかに。私もまだ終わってません。 (更紗)

行く春の川の流れに髪洗う 芳生
◆ 雪解けとともに川の水量は増すので、なんとなく危ない感じがしましたが、そういうよみは邪道ですね。どこかアジア大陸の光景なのかなあ。 (木琴)
◆ 季重なりですね。 (チィープ・インパクト)

行く春や浜辺で拾ふ宝物 泥亀
◆ 何を拾ったのか知りたかったです。 (チィープ・インパクト)
◆ 貝殻でしょうか。行く春の感じが出てます。 (更紗)

行く春や新とは言わせぬ顔かおカオ 新世界

行く春や雨土なべてゆるぎなき 手湖鶴

行く春の一途な愛を受けている まほろ
◆ 一途な愛って何でしょうねえ? (更紗)

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